前回に引き続き、「音が見える」というのはどれほどパワフルなことかということをColor Vowel®の米国の主要メンバーの中の一人のエピソードと共にお伝えしたいと思います。
彼女はColor Vowel®の開発者らと共に当初から、そして今も米国でアクティブに活動している一人です。対象の生徒は大人(教師)の時も子どもの時もあり、このエピソードはずいぶん昔に子どもを相手に授業をしている時の事です。
教室にいる生徒は全員英語以外が第一言語で、英語を学ぶ子どもたちです。
彼らの第一言語はスペイン語、アラブ語、ベトナム語、ペルシア語、中国語、タイ語、フランス語、ポルトガル語、と本当に様々でした。
いつもの様に、Color Vowel®を使い、母音の練習などをした後に、”What color is it?”と先生が言った単語のprimary stress(第一強勢)の母音を当てるクイズをしていた時です。本来、第一言語が英語でない場合、母音の識別は難しいため(脳が聞こえる音を第一言語の母音の音に置き換えて認識するようにしてしまう)ちょとレベルが高く、楽しいゲームになるのですが、一人の生徒が常に一番に、そして、確実に正解を当ててくるのです。まだ周りの生徒たちは迷ったり、話し合ったりしているのに、です。
彼女は、しばらく理解ができませんでした。
なぜなら、その生徒は完全に耳が聞こえない生徒だったからです。さらに、その生徒は授業中、通訳を横につけているのですが、そのゲームの時はその通訳を一切使っていなかったそうです。
彼女はその生徒に聞きました「なぜそんなに素早く、確実にわかったの?」と。
するとその生徒は「先生の口の形ですぐわかったよ。」と言ったそうです。
そうです、まさに彼には「音が見えて」いたのです。
それもそのはず、Color Vowel® Chartはそれぞれの音がチャート上で「色」として見えるだけではなく、それぞれの音を発する時の口の形(ポジション等)とリンクしているからなのです。
このエピソードを聞いて、私は、Color Vowel®が音が色で分けられているから見やすい、わかりやすい、という単純なものではなく、視覚、聴覚、身体運動、など(音楽の部分もあります)全てが効果的に融合された脳科学に基づくメソッドであることを知ることになりました。
「音が見えるってどういうこと?#1」で「シンプル」で「簡単」そうと感じたメソッドは実はとても「奥深く」「巧みに計算された」ものだったのです。今回は「視覚」の部分を中心にご紹介しましたが、この「音が見える」ということが、外国語として英語音をインストールしていくにあたってどれくらいパワフルで重要であるかということを、少〜しだけでもご理解いただけていたら嬉しいです。
この音と視覚との関係については、専門的にも研究をされているものもありますが、(少しマニアックですが)ご興味のある方は、Mc Gerk Effectや、Motor theory of speech perceptionを検索してみて下さい。
