英語の発音コーチをしていると本当によく聞くセリフがあります。

「英語の発音を直したいんです。」
「英語の発音矯正をしてもらいたいんです。」

私自身のColor Vowel®トレーニング中にも、私のようなノンネイティブの英語コーチが同じ様なセリフを言っていました。正直、私自身も初めは「直す」という感覚を無意識に持ちながらトレーニングを受けていたかもしれません。

しかしその度に、Color Vowel®の先輩、同志、同期、である専門家の彼らが口を揃えて言っていたのが、
“We don’t fix your accent, we add new sounds to yours.”


私たち日本語話者は、成長の過程で認識する(できる)音が母語(日本語)の音に絞られていきます。サバイバルのために効率良い方法を脳が選択しているのでしょう。
つまり、日本語以外の音を聞いた時に自然と一番近い日本語の音に置き換えて認識してしまう傾向にあります。だから英語を発音する時もいわゆる「日本語訛り」「カタカナ英語」になってしまうのです。


わかりやすくピアノで例えると、
二つのピアノが背中合わせに置いてあります。
日本語話者のAさんは「ド・レ・ミ・ファ・ソ」の5つの白い鍵盤のピアノに向かって座っています。
英語話者のBさんは「ド♯・レ♯・ソ♭・ソ♯・シ♭」など5つ以上の黒い鍵盤のピアノに向かって座ります。

Bさんが「ねぇねぇ、Aさん。私が弾くこの音を真似して弾いてみてね。」と言います。
Aさんは、聞こえた音(無意識に一番近い音を選び)を弾いて応えます。
Bさんが「Aさん、違うよ、こうだよ。」ともう一度弾きます。
Aさんは、間違ったのかな?ともう一つの(近い)音を弾いて答えるけれど、何を直していいのか、何が違うのか分からずにだんだん悲しくなっていきます。


ちょっと悲しい終わり方になってしまいましたが、
よくよく考えるとその音を出せなくて当然であって、
何も悲しいことでも、恥ずかしいことでもないのです。
そもそも、その音を持っていないので、「直す」「矯正」も
する必要がないのです。


英語の発音を学ぶということは、

今ある白い鍵盤に黒い鍵盤の部分を加えて豊かなピアノにすること。
自分のパレットにある色に違う色を増やしていくこと。
自分の「音」のレパートリーに新しい音を「インストール」することです。

そう思うと少しワクワクしませんか?