昨日、2025年版の「世界英語能力指数(EF EPI)」が発表されました。
対象となった123カ国の中で1位に輝いたのは、今年もやっぱり オランダ。
2011年に調査が始まって以来、常にトップ3入り。
そして2019年以降はずっと1位をキープという圧倒的な強さです。
国民の90%以上がバイリンガルと言われ、英語力の高さは世界的にもよく知られています。
一方で、日本はというと……
今回の順位は 96位。能力区分では「非常に低い」カテゴリー。
アジア25カ国の中でも 18位 という厳しい結果でした。
英語や英語教育に関わる私としては、思わず「うーん…」と唸ってしまうニュースです。
・オランダとの差はどこから生まれるのか?
よく、「オランダの英語力の高さは小学校英語教育にある」と言われます。
1980年代から続く長い歴史があり、英語に触れる環境が早期から整っています。
では、日本はどうでしょうか?
本格的な小学校英語がスタートしたのは2020年。
必修化以前の取り組みも含めれば10年以上続けてきましたが、順位は毎年のように下がり続けています。
よく挙げられる理由は大きく3つ。
① 日常生活で英語を使う必要がない
日本では英語は“学校の一教科”。
教室を出た瞬間から、英語を使う場面はほとんどありません。
② 地理的な違い
ヨーロッパのように隣国と陸続きだと、多言語話者と接する機会が自然と増えます。
共通言語として英語が必要になる場面も多い。
日本は島国なので、その必要性がどうしても低い。
③ 言語間の距離の遠さ
オランダ語のように英語と同じゲルマン系の言語を話す人たちにとって、英語は「似ている部分」が多く学びやすい。
一方、日本語は英語との言語距離が極端に遠く、難易度が高い。
こうした理由をよく耳にします。
でも・・・。
同じアジアでも、韓国は 48位 と「標準」レベルをキープ。
4年前には 28位 まで上り詰めたこともあります。
この事実を見ると、先ほどの3つの理由は「できない言い訳」にはできないかもしれません。
・英語は必須じゃない。でも“選択肢”にはしておきたい。
「英語を話せなくても生活できる」
「グローバル化なんてしなくていい」
そんな大人もたくさんいますし、その考え方ももちろんアリだと思います。
ただ、子どもたちにとって英語が
・苦手だから諦めるもの
・自分には関係ないもの
ではなく、
・「話せるけど今は使う必要がない」
・「海外に挑戦したいから英語ができてよかった」
といった 選択肢 を広げてくれるツールであってほしい。
今回のランキングは、そんな未来への願いを改めて強くさせる結果でした。
日本の英語教育は、「量」ではすでに世界でもトップレベルです。
それでも成果が出にくい現実があるからこそ、
“どのように学ぶか”
“どのように英語に触れ続けるか”
を考え直す時期に来ているのかもしれません。
