私たちが普段感じる味覚は、
甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の
5つあると言われています。
最近は、第6の味覚はカルシウム味だ、とか脂肪味だ、
とかさまざまな意見と論争があるようですが・・・
科学的、専門的なことはあまりよくわかりませんが、
食いしん坊の私には確実に感じることができる
もう一つの味覚があります。
それは4次元、つまり時間軸で感じる味覚です。
例えば
「ピエモンテ州ガヴィのコルテーゼというブドウを使ったすっきりとした白ワインです」
と、言われて飲むのと、
「イタリアのピエモンテの山の雪解け水と、
リグーリア州からの海風でミネラルがたっぷりです。
昔ガヴィにはジェノヴァの貴族たちが別荘を建て、
コルテーゼのブドウの木を植えたのがここのワインの始まりです。
だから、海辺のジェノヴァのシーフード料理にぴったりな
ミネラリーでスッキリ爽やかな味わいのワインです。」
と、話を聞いているうちに、
アルプスの山にある白く眩しい雪や、海風の香り、魚料理に絞ったレモンの酸っぱい味などを
想像しながら飲む一口は確実に違った味なのです。
このように、
時間を経てここまできた素材のストーリーは、味わった時の感動を倍増させ、
「食べる」という単純な行動を遥かに上回る体験になる気がします。
これが私の感じる第6の味覚です。
だからこそ私は、
美味しいものを食べた時、
できるならば作ったシェフにお話を聞きたいし、
その時のシェフのパッションと共に語られるストーリーはこの上なく「美味しい」と感じます。